アゲハ蝶(ナミアゲハ)~珍しい?生態写真や見分け方、生息地、食草、越冬、亜種などを解説~

アゲハチョウ科
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ナミアゲハは日本で最も有名な蝶の1種で、北海道から九州、南西諸島、小笠原諸島まで全国に広く分布する蝶です。

この記事では、これまでに観察したアゲハチョウ(ナミアゲハ)の写真を紹介します。

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アゲハチョウの紹介

2008年8月17日愛知県日進市のアゲハチョウ
分布北海道・本州・四国・九州・沖縄
生息環境平地
発生回数年3~5回程度
成虫が見られる時期4月頃から10月頃まで
越冬の状態蛹で越冬
食草ミカン科の植物
亜種なし

ナミアゲハは北海道から九州、南西諸島、小笠原諸島まで全国に広く分布する蝶で、平地から低山地に多く生息します。また、日本蝶類図説に記載のある通り、春に成虫となる春型と夏に成虫となる夏型で大きさや模様が異なる特徴があり、春型の方が小型で、外縁黒帯の幅が狭いなどの特徴があります。

日本蝶類図説(1904年の図鑑)

1904年に出版された日本蝶類図説(宮島幹之助)という図鑑があります。ここに記載されている内容を紹介します。

宮島幹之助(1904)『日本蝶類図説』.

全翅淡緑色にして、黒紋黒條多く、翅縁翅脉も亦黒し。前翅中室に黒色の縦線と横紋あり。淡緑色中央方斑列は後縁に近づくに従い横に長く、外縁も半月淡緑色紋列あり。後翅基部は淡緑色にして、外縁黒色部に藍色の粉鱗散布し、外縁列半月紋は又淡緑色にして肛角紋は橙黄色中に一小黒點を有す。尾状部は深黒なり。春生は小にして淡緑色多く、夏生は大にして黒色部廣し。

●期節 三月ー十月

●産地 北海道、本島、四国、九州、琉球

●仔虫 緑色にして、からたち、いぬざんせう等の葉を食し、緑色の帯蛹を作くる

宮島幹之助(1904)『日本蝶類図説』.

この様に、当時から日本全国に分布して、ミカン科の植物を食草とすることがわかっていました。また、春型と夏型の違いについてもすでに判明していたことがわかります。

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アゲハチョウとキアゲハの見分け方

アゲハチョウはキアゲハと見た目が非常に良く似ます。ここではアゲハチョウの見分け方を紹介します。

アゲハチョウの見分け方

成虫はアゲハもキアゲハも見た目が同じに見えますが、写真を並べるとその違いがはっきり分かると思います。

最も違うのは、翅の付け根部分です。アゲハは縞模様であるのに対して、キアゲハは縞模様は存在せず、黒っぽい色となっています。ここが最も違う点になります。それ以外にも、全体的な色として、和名の通りキアゲハのほうが黄色味が強くなっています。また、少し見慣れてくると飛び方を見ただけで見分けることができるようになります。

アゲハチョウはせわしなくパタパタと羽ばたき飛び回っているのに対して、キアゲハは滑空しているように飛ぶ傾向があります。特に、山頂等では滑空して飛ぶキアゲハの姿をよく見かけます。

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アゲハチョウの写真集

東京都文京区

2008年5月18日東京都文京区のアゲハチョウ
2017年5月28日東京都文京区のアゲハチョウ

アゲハチョウは北海道から沖縄まで広く平地に生息しているため、日本で最もポピュラーの蝶です。東京都心部でも普通に見られます。この写真は東京都文京区の小石川植物園で観察したアゲハチョウです。小石川植物園では多くのアゲハチョウを観察することができます。

山梨県富士河口湖町

2010年7月24日山梨県富士河口湖町のアゲハチョウ

山梨県の富士河口湖町で観察したアゲハチョウです。アゲハチョウは平地から低山地に生息します。山地では見かけることはあまりありません。

愛知県日進市

2008年8月17日愛知県日進市のアゲハチョウ

愛知県日進市で観察したアゲハチョウです。アゲハチョウは赤色の花を好んで訪れ蜜を吸います。アゲハチョウに限らず、クロアゲハやキアゲハなど他のアゲハチョウ科の蝶も赤色の花を好んで訪れます。赤色のツツジに蜜を吸いに来るアゲハチョウ科の蝶を見かける機会が良くあります。

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アゲハ蝶の生存戦略~偽の頭部を持つ~

アゲハ蝶の天敵は鳥類です。蝶は鳥類の捕食から逃れるため、視覚的な進化を遂げてきました。では、アゲハ蝶はどの様な視覚的進化を遂げてきたのでしょうか?

鳥類からの捕食を防ぐためには、まずは胴体部分を攻撃されないことが重要です。そのために、アゲハ蝶は翅の中に偽の頭部をつくりました。上の写真をご覧いただくと、後翅にオレンジ色の目玉のような模様と、触角のような尾状突起があることが分かります。アゲハ蝶を見つけた鳥類は、ここが頭部だと勘違いして捕食しようとします。

尾状突起を攻撃されたアゲハ蝶

上の写真は、尾状突起が攻撃されたアゲハ蝶です。蝶の観察をしていると、尾状突起が攻撃された蝶をよく見かけます。これは、偽の頭部に攻撃させることで、最も重要な胴体を守っているのです。

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アゲハチョウの卵・幼虫・蛹の成長過程

アゲハチョウが成虫になるためには、以下の過程を辿ります。

卵 ⇒ 幼虫(1齢から5齢) ⇒ 蛹 ⇒ 成虫

卵から成虫になるそれぞれの過程を、写真付きで紹介します。

アゲハチョウの卵

産卵直後の卵は黄色い卵です。

アゲハチョウの卵(産卵直後)

時間が経つにつれて徐々に黒くなってきます。

アゲハチョウの卵

アゲハチョウの幼虫

孵化して間もないアゲハチョウの幼虫です。大きさは数ミリ程度しかなく、見つけるのも大変です。産まれた直後は黒色の幼虫で、毛が生えています。

孵化して間もないアゲハチョウの1齢幼虫

孵化してしばらくは以下の写真のように黒色と白色で、鳥の糞のような模様をしています。これは、鳥の糞に擬態することで鳥の捕食から身を守っていると言われています。

アゲハチョウの4齢幼虫

その後、脱皮して大きくなると、以下の写真のように緑色の幼虫になります。この頃になると非常に食欲旺盛で、大量の葉っぱをたべるようになります。

アゲハチョウの5齢(終齢)幼虫

アゲハチョウの蛹

5齢幼虫になってしばらくすると、蛹になる準備を始めます。蛹は緑色か茶色のどちらかになります。

アゲハチョウの蛹になる直前(前蛹)
前蛹から蛹になる途中のアゲハチョウ
アゲハチョウの蛹

アゲハチョウの成虫

最後には蛹から羽化して成虫になり飛んでいきます。

アゲハチョウの成虫
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アゲハチョウの幼虫の見分け方

アゲハチョウの幼虫は非常に良く似ていて、慣れていないと見分けるのは難しいです。以下では、本州でよく見られる以下4種類アゲハの幼虫の見分け方を解説します。

この記事で解説するアゲハの幼虫
  • アゲハチョウ(ナミアゲハ)
  • クロアゲハ
  • カラスアゲハ
  • キアゲハ

アゲハの幼虫は卵から孵化してから基本的には4回脱皮をします。孵化直後の幼虫を1齢幼虫と呼び、1回目の脱皮をすると2齢幼虫に、2回目の脱皮をすると3齢幼虫になり、4回目の脱皮をすると終齢(5齢)幼虫になります。

1~4齢幼虫は鳥の糞のような模様をしており、終齢(5齢)幼虫は緑色の幼虫になります。それぞれの見た目の違いは以下の通りです。

1~4齢幼虫の違い

1~4齢幼虫の違い

1~4齢幼虫はどれも鳥の糞のような模様をしていますが、よく見ると模様が異なります。キアゲハは黄色い点が複数あることで見分けることができます。アゲハチョウとクロアゲハ、カラスアゲハは似ていますが、カラスアゲハは最も黄色味が強く、アゲハチョウは黄色味が弱いことで見分けることができます。

終齢(5齢)幼虫の違い

アゲハの幼虫の見分け方
終齢(5齢)幼虫の違い

次に終齢(5齢)幼虫の違いです。キアゲハは独特の黒い筋が複数あるので、容易に見分けることができます。アゲハチョウとクロアゲハ、カラスアゲハ見た目が似ていますが、クロアゲハは背中に黒い筋があり、カラスアゲハは頭に模様があることから、見分けることができます。

ツノの色の違い

アゲハの幼虫はツノの色にも違いがあります。アゲハチョウやキアゲハ、カラスアゲハは黄色いツノですが、クロアゲハは赤いツノを持っています。

アゲハの幼虫のエサの違い

アゲハの幼虫は種類によってエサが異なります。幼虫のエサは下表の通りです。

種類幼虫のエサ
アゲハチョウ(ナミアゲハ)ミカン科の植物(ミカンやヘンルーダ、カラタチなど)
クロアゲハミカン科の植物(ミカンやヘンルーダ、カラタチなど)
カラスアゲハミカン科の植物(サンショウやヘンルーダなど)
キアゲハセリ科の植物(パセリなど)

アゲハチョウとクロアゲハ、カラスアゲハの幼虫はどれもミカン科の植物をエサとします。その中で、アゲハチョウとクロアゲハは、栽培ミカンやヘンルーダ、カラタチなどの植物によく幼虫が付きます。一方で、カラスアゲハはサンショウやヘンルーダなど幼虫がよく付きます。

アゲハチョウやクロアゲハ、カラスアゲハのエサとなるヘンルーダ(ミカン科)

この4種類の中では、キアゲハの幼虫だけがミカン科の植物を食べません。キアゲハの幼虫はパセリなどのセリ科の植物を食べます。ホームセンターなどで売っているパセリを育てると、キアゲハが卵を産みに来ます。

キアゲハのエサとなるパセリ(セリ科)
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