アゲハチョウとキアゲハの違い・見分け方~アゲハチョウに似た蝶~

蝶の見分け方

この記事ではよく似た蝶の見分け方を紹介します。

見た目がよく似ている蝶は、初心者の方には(時には上級者でも)見分けるのが難しいと思います。例えば、アゲハチョウとキアゲハの見分け方、モンシロチョウとスジグロシロチョウの見分け方などは、最初に悩むところだと思います。

また、中級者や上級者になってきても、ゼフィルスの見分け方やサカハチチョウとアカマダラの見分け方、さらにはスジグロシロチョウとヤマトスジグロシロチョウとエゾスジグロシロチョウの見分け方などは簡単ではありません(※ヤマトスジグロシロチョウに関しては、もはや見た目では判別不能です)。

この「よく似た蝶の見分け方」のシリーズでは、こういった蝶をどの様に見分けるのかについて紹介をしていきたいと思います。

この記事では、定番中の定番、アゲハチョウとキアゲハの見分け方について紹介をしたいと思います。

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アゲハチョウとキアゲハの成虫の比較

成虫はアゲハもキアゲハも見た目が同じに見えますが、写真を並べるとその違いがはっきり分かると思います。

最も違うのは、翅の付け根部分です。アゲハは縞模様であるのに対して、キアゲハは縞模様は存在せず、黒っぽい色となっています。ここが最も違う点になります。それ以外にも、全体的な色として、和名の通りキアゲハのほうが黄色味が強くなっています。また、少し見慣れてくると飛び方を見ただけで見分けることができるようになります。

アゲハチョウはせわしなくパタパタと羽ばたき飛び回っているのに対して、キアゲハは滑空しているように飛ぶ傾向があります。特に、山頂等では滑空して飛ぶキアゲハの姿をよく見かけます。

アゲハチョウ
キアゲハ
アゲハチョウとキアゲハの見分け方
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アゲハチョウとキアゲハの幼虫の比較

成虫は見た目がよく似ているアゲハチョウとキアゲハですが、幼虫は見た目がかなり違います。また、幼虫が食べる植物も全く異なります。

まず見た目についてです。アゲハチョウの幼虫はこのような見た目になります。上の写真が小さいときの幼虫の写真ですが、鳥の糞のような模様をしており、黒地に白帯が入った模様となっています。この幼虫が脱皮を繰り返して成長すると、下の写真のように途中で緑色に変化します。

アゲハチョウの幼虫
アゲハチョウの幼虫

これに対して、キアゲハの幼虫は以下の見た目となります。上の写真はキアゲハの小さいときの幼虫の写真ですが、黄色いブツブツが目立ち、アゲハチョウと比べるとややグロテスクな見た目です(鳥の糞にはあまり見えません)。

また、この幼虫が脱皮を繰り返して成長すると、下の写真のように途中で緑色に変化しますが、アゲハチョウとは違い、黒い線と黄色模様が入ります。

この様に、アゲハチョウとキアゲハは幼虫であれば見分けるのは容易になります。

キアゲハの幼虫
キアゲハの幼虫

また、見た目以外にも幼虫が食べる植物は全く異なります。

アゲハチョウはミカン科の植物の葉っぱを食べるのに対して、キアゲハはパセリやミツバ、ニンジン、セリなどを食べます。

このように、成虫の見た目は似ているアゲハチョウとキアゲハですが、幼虫の見た目や生態には大きな違いがあります。

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アゲハチョウの紹介

ナミアゲハは北海道から九州、南西諸島、小笠原諸島まで全国に広く分布する蝶で、平地から低山地に多く生息します。また、日本蝶類図説に記載のある通り、春に成虫となる春型と夏に成虫となる夏型で大きさや模様が異なる特徴があり、春型の方が小型で、外縁黒帯の幅が狭いなどの特徴があります。

  • 食草:ミカン科の植物(ミカン、カラタチ、サンショウ、ヘンルーダなど)
  • 分布:北海道から九州、南西諸島、小笠原諸島まで全国に広く分布
  • 成虫が見られる時期:4月頃から10月頃まで
  • 生息環境:農地や民家、公園など

1904年に出版された日本蝶類図説(宮島幹之助)という図鑑があります。ここに記載されている内容を紹介します。

宮島幹之助(1904)『日本蝶類図説』.

全翅淡緑色にして、黒紋黒條多く、翅縁翅脉も亦黒し。前翅中室に黒色の縦線と横紋あり。淡緑色中央方斑列は後縁に近づくに従い横に長く、外縁も半月淡緑色紋列あり。後翅基部は淡緑色にして、外縁黒色部に藍色の粉鱗散布し、外縁列半月紋は又淡緑色にして肛角紋は橙黄色中に一小黒點を有す。尾状部は深黒なり。春生は小にして淡緑色多く、夏生は大にして黒色部廣し。

●期節 三月ー十月

●産地 北海道、本島、四国、九州、琉球

●仔虫 緑色にして、からたち、いぬざんせう等の葉を食し、緑色の帯蛹を作くる

宮島幹之助(1904)『日本蝶類図説』.

この様に、当時から日本全国に分布して、ミカン科の植物を食草とすることがわかっていたようです。また、春型と夏型の違いについてもすでに判明していたことがわかります。

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キアゲハの紹介

キアゲハも都心部の公園などでも普通に見ることができ、北海道から九州まで広い範囲に生息しています。沖縄にも過去に観察した記録は3例ありますが、定着はしていません。

ナミアゲハと見た目はよく似ていますが、キアゲハは滑空するように飛ぶ特徴があり、慣れてくると飛び方や模様の違いにより飛んでいても見分けることができるようになります。

アゲハチョウの幼虫はミカン科の植物の葉を食べるのに対して、キアゲハの幼虫はパセリ等のセリ科の植物を食べます。庭にパセリを植えておくと卵を産みにくる本種を見ることができると思います。

  • 食草:パセリなどのセリ科の植物
  • 分布:北海道から九州まで広く分布
  • 成虫が見られる時期:4月頃から10月頃まで
  • 生息環境:農地や民家、公園など
宮島幹之助(1904)『日本蝶類図説』.

全翅黄色にして翅脉翅縁は黒し。前翅基部黒く黄色の粉鱗散布し、翅脉は其間に黄色黄斑を形成す。中室に二黄斑ありて、外縁に黄鱗散布し、且つ邊縁に黄紋列あり。後翅黒色部幅廣く、中に藍色の斑あり。外縁に沿ひ黄色の半月紋列をなす。尾状部は眞直にして黒く内側に藍黒色にて圍める。赭赤色の圓點ありて眼様紋をなす。夏生は春生よりも大にして色濃く、尾又長し。雄の地色は濃黄にして、雌は黒味を帯ぶ。

●期節 三月ー十月

●産地 北海道、本島、四国、九州

●仔虫 鮮緑色にして黒帯あり、赤色、黒色の斑點多し、にんじん、ういきやう等、栽培繖形科植物を食す蛹は帯黄緑色乃至帯褐黄色なり。

宮島幹之助(1904)『日本蝶類図説』.
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まとめ

アゲハチョウとキアゲハの成虫は、一見似ていますが、翅の付け根の模様で見分けることが可能です。また、慣れてくると飛び方でも見分けることができるようになります。

両種の幼虫を比べると、違いは明らかです。幼虫の模様が全く違うのに加えて、食草も全く異なります。

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