埼玉県の”絶滅した蝶”を紹介~埼玉県レッドデータブック動物編2018(第4版)より~

蝶の生態他
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埼玉県は開発の影響などにより、絶滅の危機に瀕する蝶は徐々に増えてきています。「埼玉県レッドデータブック動物編2018(第4版)」では、埼玉県に生息する129種類の蝶のうち、約49%にあたる63種類がレッドリスト掲載種とされています。

この63種類のうち、絶滅と判断された蝶は13種類がいます。この記事ではこの13種類を紹介します。

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  1. ヤマキチョウ
    1. 埼玉県内の状況~埼玉県レッドデータブック動物編2018(第4版)より~
  2. キマダラルリツバメ
    1. 埼玉県内の状況~埼玉県レッドデータブック動物編2018(第4版)より~
  3. クロシジミ
    1. 埼玉県内の状況~埼玉県レッドデータブック動物編2018(第4版)より~
  4. シルビアシジミ
    1. 埼玉県内の状況~埼玉県レッドデータブック動物編2018(第4版)より~
  5. アサマシジミ
    1. 埼玉県内の状況~埼玉県レッドデータブック動物編2018(第4版)より~
  6. ヒョウモンチョウ
    1. 埼玉県内の状況~埼玉県レッドデータブック動物編2018(第4版)より~
  7. オオウラギンヒョウモン
    1. 埼玉県内の状況~埼玉県レッドデータブック動物編2018(第4版)より~
  8. コヒョウモンモドキ
    1. 埼玉県内の状況~埼玉県レッドデータブック動物編2018(第4版)より~
  9. オオイチモンジ
    1. 埼玉県内の状況~埼玉県レッドデータブック動物編2018(第4版)より~
  10. キマダラモドキ
    1. 埼玉県内の状況~埼玉県レッドデータブック動物編2018(第4版)より~
  11. クロヒカゲモドキ
    1. 埼玉県内の状況~埼玉県レッドデータブック動物編2018(第4版)より~
  12. ホシチャバネセセリ
    1. 埼玉県内の状況~埼玉県レッドデータブック動物編2018(第4版)より~
  13. アカセセリ
    1. 埼玉県内の状況~埼玉県レッドデータブック動物編2018(第4版)より~

ヤマキチョウ

2009年7月26日山梨県富士河口湖町のヤマキチョウ
分布本州
生息環境山地
発生回数年1回
成虫が見られる時期ほぼ周年
越冬の状態成虫で越冬
食草クロツバラなど
亜種なし

ヤマキチョウは日本では本州にのみ生息する蝶で、長野県・山梨県を中心とする中部地方と東北地方の一部にのみ生息します。近年は生息環境の悪化により個体数を減らしており、絶滅が危惧されています。成虫は年1回の発生で、7月頃から羽化が始まります。成虫のまま越冬し、翌年の春に再度活動を開始するため、ほぼ周年で成虫を観察することができます。

活動時間はおもに日中で、緩やかに飛翔し、花の蜜をよく吸います。

埼玉県内の状況~埼玉県レッドデータブック動物編2018(第4版)より~

これまでに川口市(1980 年)、旧浦和市(現さいたま市 , 1958 年)、横瀬町(1982 年)、旧大滝村(現秩父市 , 1973 年 , 1979 年)で記録されている。川口市、さいたま市の記録は偶産であり、奥武蔵の記録も土着かどうかは明確でない。現在は奥秩父でも絶滅と考えられる。

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キマダラルリツバメ

2018年6月17日福島県三島町のキマダラルリツバメ
分布本州
生息環境平地・山地
発生回数年1回
成虫が見られる時期6月から7月頃
越冬の状態幼虫で越冬
食草サクラ、キリなど
亜種なし

キマダラルリツバメは日本では本州のみに生息し、東北から中国地方まで生息地はありますが、分布は非常に局地的です。生息地が里山であることから、開発による影響を受けやすく、全国的に生息数が減少しています。成虫は年1回の発生で、6月から7月頃に見られます。

活動時間は夕方で、オスは16時頃から18時頃が最も活発になり、頻繁に占有行動をとります。日中は樹上や下草に静止しています。メスは夕方ごろに食樹付近を緩やかに飛翔します。

埼玉県内の状況~埼玉県レッドデータブック動物編2018(第4版)より~

県内の記録は 1954 年の旧名栗村(現飯能市)名郷の記録が唯一のものである。現在、この生息地は消滅しており、県内では絶滅した。

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クロシジミ

2010年7月24日山梨県富士河口湖町のクロシジミ
分布本州、四国、九州
生息環境平地、山地
発生回数年1回
成虫が見られる時期7月から8月頃
越冬の状態幼虫で越冬
食草クヌギ、コナラなど
亜種なし

クロシジミは生息数が激減し、生息地が局地的となっており、現在は絶滅が危惧される蝶の1種です。成虫は1年に1回の発生で、7月から8月頃に見られます。日中、オスは草原の上を俊敏に飛翔して、メスは低い場所をゆっくりと飛びます。ヒメジョオンなどの花の蜜を良く吸う姿が見られます。

埼玉県内の状況~埼玉県レッドデータブック動物編2018(第4版)より~

1960 年代までは平野部から低山帯にかけて多くの産地があり、大宮台地や狭山丘陵、奥武蔵では多産した。1970 年代から県内全域で減少し、1980 年代には狭山丘陵の一部を除いてほとんどの地域で絶滅した。1990 年代には狭山丘陵の産地でも絶滅し、現在は県内全域で絶滅したと考えられる。

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シルビアシジミ

2015年8月29日兵庫県伊丹市のシルビアシジミ
分布本州、四国、九州
生息環境平地
発生回数年4回程度
成虫が見られる時期4月から11月頃
越冬の状態幼虫で越冬
食草ミヤコグサ、シロツメクサなど
亜種なし

シルビアシジミは本州と四国、九州に生息しますが、生息地は極めて局地的で、個体数も多くないため、絶滅が危惧される蝶の1種です。成虫は4月頃から11月頃まで観察することができます。

幼虫の主な食草はミヤコグサですが、兵庫県に生息する個体はシロツメクサを食べます。ミヤコグサを食草とする個体は草地環境の悪化により全国的に減少していますが、シロツメクサを食草とする個体は安定して生息しています。

ヤマトシジミと見た目は非常に良く似ますが、ヤマトシジミは平地で一般的なのに対して、シルビアシジミは極めて局地的にしか生息しませんので、普段見られるのはヤマトシジミであることがほとんどです。

埼玉県内の状況~埼玉県レッドデータブック動物編2018(第4版)より~

かつては荒川、利根川の本流や支流域など河川流域沿岸に産地が多かったが、1960 年代以降に食草であるミヤコグサが激減し、県内では絶滅した。最後の生息地は本庄市仁手であったが、その個体群も 1980 年代に絶滅した。

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アサマシジミ

2009年7月18日山梨県忍野村のアサマシジミ
分布北海道、本州
生息環境山地など
発生回数年1回
成虫が見られる時期6月から7月頃
越冬の状態卵で越冬
食草ナンテンハギなど
亜種北海道亜種、本州中部高山帯亜種、本州中部低山帯亜種

アサマシジミはかつては以下の3種類に分類されていましたが、現在は全てアサマシジミとなっており、この3種はそれぞれ亜種として分類されています。

  • イブリシジミ(イシダシジミ):現在は北海道亜種とされる。
  • ヤリガタケシジミ:現在は本州中部高山帯亜種とされる。
  • アサマシジミ:現在は本州中部低山帯亜種とされる。

成虫は年1回の発生で、6月から7月頃にかけて見られます。分布は北海道と本州ですが、北海道の生息地は壊滅的な状況で、本州の生息地でも生息数は激減しています。

近縁種としてヒメシジミとミヤマシジミがおり、この中ではアサマシジミが一番大きくなります。特に本州中部低山帯亜種が大型となります。

埼玉県内の状況~埼玉県レッドデータブック動物編2018(第4版)より~

かつては奥武蔵~秩父の乾燥した草原に生息していた。これまでに小川町、旧都幾川村(現ときがわ町)、東秩父村、皆野町、秩父市、小鹿野町で記録がある。しかし、1977年の皆野町蓑山での記録を最後に 40 年以上全く記録がない。現在は県内では絶滅したと思われる。

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ヒョウモンチョウ

2014年7月25日長野県東御市のコウゲンヒョウモン
分布本州
生息環境平地、山地
発生回数年1回
成虫が見られる時期7月から8月頃まで
越冬の状態幼虫で越冬
食草ワレモコウ、オニシモツケなど
亜種なし

コウゲンヒョウモンは元々はヒョウモンチョウ(別名:波ヒョウモン)と呼ばれていましたが、北海道に生息する個体と本州に生息する個体が別種であることが判明し、現在は北海道に生息する個体はキタヒョウモンと呼ばれ、本州に生息する個体はコウゲンヒョウモンと呼ばれるようになりました。この両種の見た目はほぼ同じであることから、見た目で見分けるのは不可能に近いと言えます。また、コヒョウモンとも見た目が似ており、分布が重なることもあるため、同定には注意が必要です。

成虫は年1回の発生で、7月から8月頃に見られます。活動時間は主に日中で、低い位置を緩やかに飛翔し、花の蜜を吸います。

埼玉県内の状況~埼玉県レッドデータブック動物編2018(第4版)より~

これまでに旧大滝村(現秩父市)の奥秩父から数記録が知られている。多くは三国峠周辺の山梨~長野との県境尾根にある山地草原の記録である。1950 年代の三国峠での記録を最後に 50 年以上記録が無く、県内では絶滅したと考えられる。

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オオウラギンヒョウモン

分布九州以外のほとんどの地域で絶滅
生息環境草原
発生回数九州では年2回
成虫が見られる時期6月頃から9月頃まで
越冬の状態幼虫で越冬
食草スミレ科の植物
亜種なし

かつては本州や四国、九州に分布していて、ウラギンヒョウモンよりも普通に見られることもある蝶でしたが、現在では九州以外のほとんどの地域で絶滅してしまいました。日本で最も減少した蝶と言われています。

オオウラギンヒョウモンは草刈りを定期的に行っている草原環境に生息していますが、開発や管理放棄により環境が変わり、大きく減少したと考えられています。

埼玉県内の状況~埼玉県レッドデータブック動物編2018(第4版)より~

1950 年代には旧浦和市(現さいたま市)、東秩父村、旧大滝村(現秩父市)などに記録があったが、その後全く記録がなく、絶滅したと考えられる。本種は埼玉県に限らず、全国的規模で衰退が著しい。

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コヒョウモンモドキ

2014年7月25日長野県東御市のコヒョウモンモドキ
分布本州
生息環境山地
発生回数年1回
成虫が見られる時期7月から8月頃
越冬の状態幼虫で越冬
食草クガイソウ、ヒメトラオノなど
亜種なし

コヒョウモンモドキは日本では中部と関東地方にのみ生息します。かつては東北地方でも記録がありますが、現在は生息していません。比較的標高が高い場所に生息する蝶ですが、草原環境の減少やシカによる食害などで絶滅した地域も少なくありません。個体数を減らしており、絶滅が危惧される蝶の1種です。

成虫は年1回の発生で、7月から8月にかけて観察することができます。日中、低い位置を緩やかに飛び、花の蜜をよく吸います。

埼玉県内の状況~埼玉県レッドデータブック動物編2018(第4版)より~

これまでに奥秩父と三国峠周辺と中津川上流部での記録があるが、1967 年に旧大滝村(現秩父市大滝)で記録されたのを最後に、以降 50 年近く全く記録が無く、絶滅したと考えられる。

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オオイチモンジ

2009年7月15日長野県松本市のオオイチモンジ
分布北海道、本州
生息環境山地
発生回数年1回
成虫が見られる時期7月から8月頃
越冬の状態幼虫で越冬
食草ドロノキ、ヤマナラシなど
亜種なし

オオイチモンジは北海道と本州に生息し、北海道では平地でも普通に見られますが、本州では標高1,000mから2,000m程度の山地に生息します。そのため、本州では「高山蝶」と呼ばれることもあります。「高山蝶」と呼ばれる蝶は日本には以下の13種類が生息しています。

本州の高山蝶(9種類)

タカネヒカゲ、ミヤマモンキチョウ、ベニヒカゲ、クモマベニヒカゲ、タカネキマダラセセリ、ミヤマシロチョウ、オオイチモンジ、コヒオドシ、クモマツマキチョウ

北海道の高山蝶(4種類)

ウスバキチョウ、カラフトタカネヒカゲ、アサヒヒョウモン、クモマベニヒカゲ

日中は樹の上を滑空するように飛び、樹液や獣糞の汁などを吸います。成虫は年1回の発生で、6月下旬から8月中旬ごろに見られます。

埼玉県内の状況~埼玉県レッドデータブック動物編2018(第4版)より~

1930 年代に旧大滝村(現秩父市)で 2 例の記録があった後、1964 年に奥秩父主脈稜線の破不山でオス 1 頭が採集されたが、以降 50 年以上記録が途絶えており、絶滅したと考えられる。

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キマダラモドキ

2014年8月24日山梨県富士河口湖町のキマダラモドキ
分布北海道、本州、四国、九州
生息環境平地、山地
発生回数年1回
成虫が見られる時期7月から8月頃
越冬の状態幼虫で越冬
食草ススキ、カモジグサなど
亜種なし

キマダラモドキは北海道から九州まで広い範囲に分布していますが、生息地は局地的で個体数は多くはありません。成虫は基本的に年1回の発生で、7月から8月頃に見られますが、過去には大阪府などで10月に第2化の新鮮な個体が観察されたことがあります。

日中はあまり活発に活動せず、夕方に活発に活動して林の中の日陰を緩やかに飛翔します。成虫は樹液や獣糞、地面に落ちた果物などの汁を吸います。

埼玉県内の状況~埼玉県レッドデータブック動物編2018(第4版)より~

確実な記録は 1950 年と 1954 年の旧大滝村(現秩父市)の三峰山、及び 1973 年の三国峠の 3 例のみである。最後の記録から 40 年以上記録が途絶えており、現在は絶滅したと考えられる。

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クロヒカゲモドキ

2022年7月17日山梨県韮崎市のクロヒカゲモドキ
分布本州・四国・九州
生息環境山地
発生回数年1回
成虫が見られる時期7月から8月頃
越冬の状態幼虫で越冬
食草アシボソなど
亜種なし

クロヒカゲモドキは年1回の発生で、早ければ6月下旬ごろから見られ、主に7月から8月に見られる蝶です。ヒカゲチョウやクロヒカゲと似ますが、これらの蝶は普通種であるのに対して、クロヒカゲモドキは全国的に減少が著しく、出会うことは稀な蝶です。

成虫は樹液や地面に落ちた果物などをエサとします。地面で吸水する姿も見かけます。日中の暑い時間帯は活動を行わず、夕方ごろに最も活発に活動します。

埼玉県内の状況~埼玉県レッドデータブック動物編2018(第4版)より~

1957 年の旧大滝村(現秩父市)の三峰山の記録が埼玉県唯一の記録であり、これ以降60 年近く記録が途絶えており、現在は絶滅したと考えられる。

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ホシチャバネセセリ

2009年7月26日山梨県富士河口湖町のホシチャバネセセリ
分布本州・対馬
生息環境山地の草原
発生回数年1回程度
成虫が見られる時期7月頃から8月頃まで
越冬の状態幼虫で越冬
食草オオアブラススキなどのイネ科の植物
亜種なし

ホシチャバネセセリは年1回の発生で、7月から8月頃に成虫が見られます。山地の草原などに生息しますが、個体数の減少が著しく、絶滅した場所も多くあります。日本では本州と対馬に生息し、本州では青森県から山口県まで分布は広いのですが、生息地は局地的です。生息地は残りわずかとなっている貴重な蝶です。

小さい種類が多いセセリチョウ科の蝶の中でもひときわ小さく、すぐに見失ってしまいます。花をよく訪れ、花の蜜をよく吸います。

埼玉県内の状況~埼玉県レッドデータブック動物編2018(第4版)より~

かつては低山帯から山地帯に局地的に生息していたが、各地で著しく減少した。これまでに旧都幾川村(現ときがわ町)、飯能市、小鹿野町で記録されている。最後の記録は1977 年旧都幾川村(現ときがわ町)の堂平山で、以降 40 年近く記録が無く、現在は絶滅したと考えられる。

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アカセセリ

2018年8月13日長野県乗鞍高原のアカセセリ
分布本州
生息環境山地の草原
発生回数年1回
成虫が見られる時期7月から8月頃
越冬の状態卵で越冬
食草ヒカゲスゲなど
亜種なし

アカセセリは本州のみに生息する特産種です。主に中部地方の山地の草原に生息しますが、栃木県や新潟県、富山県などでも局地的に生息地があります。草原環境の悪化により全国的に減少が著しく、絶滅が危惧される蝶の1種です。

日中に草原を俊敏の飛び回り、花の蜜をよく吸います。また、路上で吸水する姿や獣糞の汁を吸う姿も見られます。

似た蝶としてはヒメキマダラセセリとコキマダラセセリがいますが、翅の裏面の模様が異なりますので、見分けるのはそれほど難しくはありません。

埼玉県内の状況~埼玉県レッドデータブック動物編2018(第4版)より~

これまでに小川町、旧大滝村(現秩父市)、小鹿野町で少数の記録がある。しかし 1976年の秩父市の記録を最後に 40 年近く記録が途絶えていて、再発見される可能性は低く、県内では絶滅したと考えられる。

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