カブトムシは夜行性じゃない?スズメバチとの関係は?

カブト・クワガタ

カブトムシは実は夜行性ではないという話を聞いたことがあるけど本当?

最近、こんなことを聞くことがあります。確かにネットで検索してみると、カブトムシは夜行性ではないという内容の記載もあります。

ですが、私たちがカブトムシを捕まえる時は、どう考えても昼間より夜間の方が活動している個体は多いですよね?累代で飼育していても、昼間ではなく夜間に活動する傾向があることは明らかです。

では、なぜ”カブトムシは夜行性ではない”という意見を耳にすることがあるのでしょうか。この記事では、

  • カブトムシが夜行性ではないと考えられている理由
  • 実際にカブトムシは夜行性ではないのか?

について解説をします。

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カブトムシが夜に活動する理由

夜間に活動する野生のカブトムシ

カブトムシを野生で見つけるのは、大体が夜間です。昼間に見ることもありますが、多くは夜間です。

私の感覚では、日が落ちて1~2時間後から活動を開始し、日が昇る直前まで活動をしている印象があります。では、なぜカブトムシは夜間に活動するのでしょうか?まずは一般的に考えられている理由を紹介します。

夜間の方が涼しいから

まず考えられる理由の1つ目は「夜間の方が涼しいから」です。カブトムシは夏の昆虫で、一般的に暑さに強いと思われていますが、実は暑さにそれほど強くはありません。特に30℃を越えるような気温では、カブトムシは体力を消耗してしまいます。

また、カブトムシは黒っぽい色をしており、体が熱を吸収しやすいという特徴もあります。そのため、直射日光が当たるような環境では体温が上昇してすぐに弱ってしまいます

昼間の暑い時間帯は土の中に潜り、夜間で気温が下がってきた時に活動すれば、体温が上昇するリスクを軽減することができるのです。

天敵が少ないから

2つ目の理由は「天敵が少ないから」です。カブトムシは樹液を吸う昆虫ですが、樹液には多くのライバルがいます。その代表がスズメバチです。カブトムシはスズメバチよりも体が大きいため、カブトムシの方が強いと思われがちですが、実際はそうではありません。スズメバチに追いやられるカブトムシが多くいます。

また、カブトムシの天敵としてはカラスやタヌキがいます。特にカラスはカブトムシをよく食べます。カラスは昼間に行動しますので、昼間にカブトムシが行動するとカラスの餌食になる可能性が高まります。

夜間に行動すると、スズメバチとのエサの奪い合いをしなくて済みますし、カラスに食べられるリスクも減ります

交尾できる可能性が高いから

交尾をするカブトムシ

3つ目の理由は「交尾できる可能性が高いから」です。上記の2つの理由により、カブトムシにとっては夜間に活動した方が安全であると言えます。そのため、昼間に活動するよりも夜間に活動した方が交尾相手を見つける可能性も高くなります。

昼間に樹液が出る場所に行っても交尾相手に出会える可能性が低い上に、体温の上昇や天敵に捕食されるリスクを負うということであれば、カブトムシが昼間に活動する理由は無いと言えます。

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カブトムシが夜行性では無いという説

昼間に活動するカブトムシ

ここまで読んでいただいた方にとっては、カブトムシが夜行性であるというのは疑いの無い事実と感じると思います。一方で、カブトムシは夜行性ではない、という主張があるのも事実です。ここではその内容を紹介したいと思います。

カブトムシが夜行性ではないという説は、ある研究結果から唱えられています。この研究では、

シマトネリコという外来植物に集まるカブトムシは、夜だけでなく昼間も活動を続けることを明らかにした。

カブトムシは夜行性であるというこれまでの常識を覆す発見である。

小学生が自宅の庭木に来るカブトムシを毎日粘り強く調査し続けた成果である。

山口大学HP(URL:https://www.yamaguchi-u.ac.jp/wp-content/uploads/2023/02/21041604wp.pdf)

とされています。

具体的には、

個体数は深夜 0 時頃にピークとなるものの、完全に明るくなっても多くの個体がシマトネリコで採餌や交尾を行うことが分かりました。個体数が最も減少する正午ごろでも、ピーク時の半数程度がなお餌場で観察されました。

クヌギなどの植物を利用する場合、カブトムシは完全な夜行性であることが知られていましたが、利用する植物種によって活動時間が変化することが本研究から示されました。

山口大学HP(URL:https://www.yamaguchi-u.ac.jp/wp-content/uploads/2023/02/21041604wp.pdf)

ということが明らかにされています。この研究結果からカブトムシは夜行性ではない、という説が出てきたのだと考えられます。

一方で、この研究成果についての以下の記載も重要なポイントです。

日本のカブトムシでは、普段利用しないシマトネリコに出会うことで、本来の活動パターンが変化したと考えられます。

なぜシマトネリコに来るカブトムシは日中まで活動を続けるのでしょうか?この理由は今回
の研究からは分かりません

山口大学HP(URL:https://www.yamaguchi-u.ac.jp/wp-content/uploads/2023/02/21041604wp.pdf)

つまり、カブトムシが夜行性じゃないから正午ごろまで活動したのか、あるいはその他に何か理由があるのかは、この研究ではまだ明らかにされていません。

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実際にカブトムシは夜行性ではないのか?

昼間に見つけた野生のカブトムシ

夜行性とは、夜に活動して昼間は休む性質のこととされています。

上で紹介した研究では、夜間に集まったカブトムシの多くが昼間まで活動したことから、「カブトムシは夜行性ではない」という説が出てきたことを紹介しました。

ですが、この研究成果によりカブトムシは夜行性ではないと結論付けられたわけではありません。実際には多くのカブトムシが夜明け前までに活動をやめます。今回の研究は、シマトネリコに集まるカブトムシの多く(ピークの半数程度)が日中頃まで活動を行うことを証明したものであり、その理由の解明もまだこれからです。夜行性とか昼行性とかの理由以外の理由がある可能性もあります。

このように、まだカブトムシは夜行性ではないということが結論付けられたわけではありませんが、その可能性があることが分かっただけでも、この研究は大きな意味があるように思います。

カブトムシは明らかに夜間に活動する傾向があるため、夜行性ではないと言い切るのは難しいと個人的には思いますが、今後の更なる研究成果が気になるところです。

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