栃木県を流れる鬼怒川の河川敷には、全国的にも非常に珍しいシルビアシジミをはじめ、ツマグロキチョウやミヤマシジミなど、絶滅危惧種に指定されている貴重な蝶が多く生息しています。
私はこれまでに、2009年から継続的に鬼怒川河川敷で蝶の観察を続けてきました。この記事では、これまでに鬼怒川河川敷で観察した蝶のうち、珍しい蝶を中心に紹介します。
アゲハチョウ科の蝶
ウスバシロチョウ

栃木県宇都宮市の鬼怒川河川敷にシルビアシジミの観察に行きましたが、その時にウスバシロチョウにも出会うことができました。
シロチョウ科の蝶
ツマグロキチョウ

2024年9月15日に秋型のツマグロキチョウを観察しました。後翅に明瞭な筋があり、ツマグロキチョウであるとわかります。

ツマグロキチョウは鬼怒川河川敷で比較的よく見られる蝶の1種です。この場所にはツマグロキチョウに似ているキタキチョウも多く生息しており、キタキチョウのほうが生息数が多いため、ツマグロキチョウを探し出すことは少し苦労します。

キタキチョウの中に混ざって、1頭だけツマグロキチョウを見つけました。翅に筋が入っているため、ツマグロキチョウと判別することができます。

2009年9月11日に観察したツマグロキチョウです。一見普通のキチョウ(キタキチョウ)と同じ種に見えるツマグロキチョウですが、この種も上の2種と同様に環境省レッドリスト2020で絶滅危惧IB類(EN)に分類される蝶です。河川敷などに生息する蝶で、ここ鬼怒川河川敷にも生息しています。ツマグロキチョウは発生する季節によって模様が異なる、いわゆる季節型がある種であり、今回は秋型のツマグロキチョウを確認することができました。
シジミチョウ科の蝶
シルビアシジミ

栃木県の鬼怒川河川敷でゴールデンウィークにシルビアシジミを観察しました。ヤマトシジミとツバメシジミに混ざって、数頭のシルビアシジミが飛んでいました。なお、この場所はシルビアシジミが天然記念物に指定されており、採集が禁止されています。

シルビアシジミは、環境省レッドリスト2020で絶滅危惧IB類(EN)に分類される蝶です。全国的に見ても非常に数を減らしており、絶滅が危惧される蝶の1種です。この鬼怒川河川敷は、そのシルビアシジミが継続的に発生を続けている数少ない場所です。この日は、1頭のシルビアシジミを観察することができました。飛翔中はヤマトシジミと見分けることが困難なため、撮影できたのは1頭だけですが、実際はもっと出会っていたかもしれません。

ミヤマシジミ

8月の盆期間に鬼怒川河川敷に行ってきました。この日に観察できた絶滅危惧種の蝶はミヤマシジミだけでした。ミヤマシジミ以外には、コムラサキやオオチャバネセセリを観察することができました。この日はそれほど数は多くありませんでしたが、まだミヤマシジミが生息していることは確認できました。

2018年7月8日に鬼怒川河川敷でミヤマシジミやツマグロキチョウ、ギンイチモンジセセリといった絶滅危惧種に指定されている蝶を観察しました。鬼怒川河川敷のミヤマシジミの生息数は多く、この日も多くのミヤマシジミを観察することができました。シルビアシジミも狙っていましたが、この日は観察することができませんでした。

2015年6月20日に鬼怒川河川敷でミヤマシジミを観察しました。6月はミヤマシジミの数が少なる時期ですが、数頭のミヤマシジミが観察できました。翅の表が水色をしていますので、この個体はオスだとわかります。メスの場合は翅の内側がグレーになります。

翅の綺麗なミヤマシジミを観察しました。ミヤマシジミは全国的に数を減らしていますが、鬼怒川河川敷は安定して多くの個体を観察することができます。

翅の擦れていない綺麗なミヤマシジミです。2009年以来、5年ぶりに鬼怒川河川敷に来ましたが、ミヤマシジミの生息は確認できました。

2009年9月11日に観察したミヤマシジミです。ミヤマシジミも環境省レッドリスト2020で絶滅危惧IB類(EN)に分類される珍しい蝶ですが、この場所には非常に多くのミヤマシジミが生息しています。これまでも何度かこの場所に行っていますが、毎回多くのミヤマシジミと出会うことができます。ヤマトシジミやツバメシジミよりも一回り大きいので、飛んでいても容易に見分けることができます。
セセリチョウ科の蝶
ギンイチモンジセセリ

鬼怒川河川敷で第1化のギンイチモンジセセリを観察しました。上の写真との比較で、第1化と第2化との違いがよく分かるかと思います。第1化は銀白条が明瞭となります。

ギンイチモンジセセリの夏型(第2化)を観察できました。ギンイチモンジセセリには春型と夏型があり、夏型は白い筋が薄くなります。

ギンイチモンジセセリもこの場所で安定して見られる絶滅危惧種の蝶です。模様や飛び方で似た蝶はいないため、容易にギンイチモンジと判別することができます。

2009年9月11日に観察したギンイチモンジセセリです。ギンイチモンジセセリは環境省レッドリスト2020で準絶滅危惧(NT)に分類される蝶です。目立たない蝶ですが、珍しい蝶であることは確かなので、写真を掲載します。
ミヤマチャバネセセリ

栃木県さくら市で観察したミヤマチャバネセセリです。後翅の裏面中央にある白斑が明瞭であることから、すぐにミヤマチャバネセセリであるとわかります。ミヤマチャバネセセリは、生息範囲は広いのですが、個体数はそれほど多くはなく、見かける機会が比較的少ない蝶です。
オオチャバネセセリ

栃木県宇都宮市で観察したオオチャバネセセリです。後翅の裏面の白斑がジグザグになっていることから、容易にオオチャバネセセリと同定することができます。オオチャバネセセリは花の蜜をよく吸います。飛翔は俊敏で、花から花へ弾丸のように飛んでいきます。
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